KinkeshiCollection

謎のキン消し超人「エクスキューシュナー(死刑執行人)」
についての一考察

論点1 現物を確認しよう。

さて今回謎のキンケシをリップマンさんからお借りできたのでその質感もできる限り
再現したく、大き目の画像にてご披露したいと思います。
さてどうでしょう、皆さんはいかがお感じになりますでしょうか。
論点2 パート19の台紙からうかがえること。
 

この台紙にはこの謎消しが中央に写っています。廻りのキン消しを確認してみると、
パート19の100tB、パート17のアシュラマン、ミスターカーメンザ・ハンター、
パート16のマンモスマン、MrVTR、ホークマン達という新作たちが確認できます。
この画像の並びは全くの無作為ではないことは王位争奪戦のメインキャラが
全面に出ていることから推察できます。少なくとも撮影にあたってキン消しを並べた
スタッフさんにとっては廻りのパート16-17キャラと同格の「キン消し」であった
のではないでしょうか。
論点3 「謎の超人」は実在する!
左の画像はリップマンさんに追加提供して
頂きました。
氏がヤフオクにて「謎消し」について
募集したところ、
この超人が「下敷き」のカタチで
商品化されていることが分かったのです。

今回のお話を聞いた時、まず私が興味を持ったのは、元ネタはなにか
ということでした。バンダイ製であるかどうかというよりも
Y/S.N.T(ゆでたまご/集英社・日本テレビ・東映)の版権を取得する
意味がこのデザインにあるのか、ということでした。
このような下敷きが存在する以上、この「謎消し」に打たれた版権マークは
立派な意味を持つことになります。
ただもともとのデザインが原作の超人応募キャラなのか東映動画オリジナル
キャラなのか今のところ分かりません。ただ、「キン肉マン」キャラとして
のバックグラウンドを立派に持つ超人であることは確かなようです。

補足:エクスキューシュナー(仮名)は其の後の調査により
  JC第七巻の読者応募超人発表に掲載されている「グレダー」であることが
  当時の山勝製カードによって確認されました。
論点4 「現物」を手にしての感想。

さて、実際件の「謎消し」を手にして感じるのはやはり小ぶりであること。
緑の具合も若干の染み付いた汚れを加味してもトーンが違う気がします。
何よりも今回決定的なのが「匂い」でした。バンダイ素材の匂いがしないのです。
背面の版権マークもなかなかキレイに入っていますが、
どうでしょう「N」が若干潰れている気がします。
これらの特徴からおそらく本品に関しては、当時の複製品ではないかと思いますが、
複製品のチェックポイントである「突き出しピン」の跡は実にシャープで
かたどられたものではなく、実際に使われた突き出しピン跡であると思います。
結論 

以上を踏まえた上で推察いたしますと、やはり
バンダイ製の「エクスキューシュナー」は存在するのではないかと思います。
実際の造型もバンダイタッチですし、版権を取得するような元ネタも確認できました。

さて、問題は何故このような特殊な事例が存在するのか、
其の可能性を推察してみましょう。


バンダイのラインナップにおいて過去製品化された417種のラインナップは全て明確な設定が
確認できるものばかりです。大別して以下の3種挙げられます。
1 原作「キン肉マン」に登場する超人及びシチュエーション。
2 東映アニメ「キン肉マン」シリーズに登場する超人及びシチュエーション。
3 原作扉ページに掲載された読者応募超人。

未確認読者応募超人達
さて、ここで3です。
われわれ現在キン肉マンファンが容易に確認できない読者応募超人達が存在することを
想起してみましょう。
いわゆる「丸越」の幻のデカケシ達です。
あのラインナップ中、ハニワマンのみはコミックス23巻の次シリーズ「王位争奪編」の
告知シーンにフェニックス、マンモスマンらに混じって確認できるのですが、
残りのトレインマン達はどうしたのでしょうか。
コミックス未収録のコーナー
ここはあくまで推論ですが、フェニックス、マンモスマンらと同時期に丸越で製品化されたラインナップの
読者応募超人の発表は当時の少年ジャンプ誌上ではちゃんとなされたのではないでしょうか。
其の場所はコミックス化されない本編から離れた場所が考えられます
有力候補なのが閉じこみポスターです。
有名なのは「覆面狩りポスター」ですが、其の裏面なんかも怪しいですし、
ブーム中、何回キン肉マンが織り込み等のページをもらえたかはよく分かっていません。

幻のデカケシの一体であるハニワマンが23巻に姿を見せていることから残りの超人達も
読者応募超人である、という推察をしているわけですが、
何故、バンダイはこれらの超人をスタンダードキン消しのラインナップに加えなかったのでしょうか。
これ以前も、これ以後も読者応募超人達はほとんどキンケシ化されているわけですから、
この部分だけがぽっかり「謎の時期」として浮いている気がします。

補足:ご承知のように其の後折込ポスターが確認され
   更にそれを元にしたパチケシシリーズも確認されることになります。
結論 「エクスキューシュナー」について
この「謎のキン消し」がバンダイ製だとしたらどのようなことが考えられるでしょうか。

当時バンダイが次シリーズ用にこの「謎消し」を含めた複数の新しいキンケシを
製作したところ、何らかの理由でそれがお蔵入りした。
件の「謎消し」に関しては、新キャラの先行挿入でお蔵入りが決定する以前に市場に
投入されたものではないか。

というのが、夢のある「物語」なのですがいかがでしょう(笑)。
おもちゃ業界においては金型まで作った商品がお蔵入りするのはない話ではありません。
時期的には台紙のところで推察されるような時期、

パート16-17前後

が有力だと思います。
ただ告知なしの「先行挿入」の具体的な事実関係は今のところよく分かっていない、
という弱点はあります。

キン消しの末端での量産体制がどのようなものであったかは今のところ不明ですが、
小さな下請け工場であった場合、お蔵入りが決定した「キン消し」の量産型が
廃棄処分の名のもとにパチ工場に流出、というパターンも考えられます。
その場合、件の「謎消し」はホンモノの型からパチの素材で成型されたもの、
というまことにつじつまの合うお話になります。

また、このデザインの大元が何か、という部分が依然問題なのですが、

東映動画の作り出した一キャラの場合、
例の下敷きキャラがアマダ等の紙モノの商品化のためだけに起こされていたデザインならば
名もないキャラを強引にシリーズ化しようとしていたことになりますし、

また、コミックス未収録の読者募集超人にその姿がある場合、
それと同時期の読者応募超人達が同時期にキンケシ化されお蔵入りしている
可能性が大です。
トレインマンたちのように「エクスキューシュナー」達が掲載された
とじ込みページが見つかるかもしれません。

補足:エクスキューシュナー(仮名)は其の後の調査により
  JC第七巻の読者応募超人発表に掲載されている「グレダー」であることが
  当時の山勝製カードによって確認されました。

総論 「キン消しはまだまだ分からないことがいっぱい!」
今回の一件にとどまらずキンケシに関してまだまだ分からないことは多々あります。
初期マルPマークの由来、それに伴うバンダイと丸越の関係、特に末端の製造に関して。
今後とも色々な資料等を通してキンケシの謎が解明されていくのが楽しみですね。
ここで基本的な謎をひとつ。
バンダイは公には一度も自社製品を「キン消し」とは呼称していない。
ミニブックや台紙、当時の広告では「塩ビ人形」という呼称をしているようです。
では誰が呼び始めたのでしょう?謎です(笑)。

補足 掲示板上でのハドソンさんとの会話を採録しました。

>例の謎キン消しの考察、興味深く拝見しました。
>正規販売において先行投入されてた物であったとしたら、現存数は結構ありそうな感じですが、
>現在のネット上における判明例が1例だけとなると販売ルート(出所)はほんと謎ですね。

私見ですが、リップマンさん所蔵の「謎消し」自体はバンダイ正規ものではないと思います。
ということはいまだバンダイ正規モノの現物は発見されていない、ということになります。
もし「告知ナシの先行投入」というものが実際にあったとしたらそれは市場調査の
役割をかねていたものと思いますので、(バンダイは結構子供のナマの反応を気にします)
都市部などの極限られた地域で極少数あったことでしょう。
一般ルートで販売されたSDキン消しぱあと7でさえほとんどネットでは出回りませんから
そのような先行挿入のみのキン消しが存在するならばその出現率はかなり低いもの
と思わねばなりません。

>工場が誤って試作品を先行アソートに数少なく紛れ込ませてしまった物なのかも。
>とか、ミスはいろいろとあったでしょうから、その一つなのかな・・・

キン消しの一般販売形態は新作ひとつに旧作2つというのが知られていますが
その旧作2体には一定の法則があったようです。
一時期パート30のデッドがヤフオクで出回りましたが、
旧作2体の組み合わせはパート1,2から一体、
パート25あたりから一体という組み合わせであったと思います。
これは旧作2体を挿入する際、出来合いの在庫から持ってくるのではなく
其のつど旧作の金型を稼動させて生産していたことを意味します。
蛇足ですがパート30に挿入されていたパート1,2のキンケシは
すこぶる状態がよく、金型のメンテナンスはブーム期のものに
比べ格段に高い精度のものでした。
例えばウチのブラックホールは肌色、赤、青、の3点は
パート30に挿入されたものですが、成型状態は比べ物にならないくらいの
高精度なものです。
旧作を挿入する際もお客様アンケートを参考にしていたと思われる
節もあるのであやまって「謎消し」の試作品が紛れ込むようなラインでは
なかったのではないでしょうか。

とはいえ、確定的なことは何も分かっていません。
こんな風に皆さんで色々想像してみるのはとても楽しいことですネ。

あとハドソンさんのタイトルの
「謎の超人出演のアニメすらも謎」ですが、若干誤解があるかもしれませんので
付け加えますと、あの下敷きはアニメのセル画を商品化してますが、
だからといってアニメ放送に使用されたものとは限りません。
むしろあのような商品に使われるセル画というのは商品用に描かれる場合が多いのです。
キン肉マンに限らず駄菓子屋流通の面子やカードの類はそうです。
たまたま絵がセル画で書かれていた、ということですね。

補足2 Haseoさんからメールを頂きました。興味深い内容ですので拝聴ください。
「こんばんは。お久しぶりです。
エクスキューシュナーについての考察、読ませていただきました。
キンケシの存在はもちろん、下敷きのデザインまで驚きました。
ところで、既にご存知だと思いますが、文面中のハニワマン、トレインマンについては、
そのとおりジャンプの覆面剥ぎポスターの裏面に募集超人の発表がありました。
私の記憶が確かならば、他にタキングという滝をモデルにしたものや、
丸越で商品化されているビッグガン等も載ってました。
私も当時ジャンプ愛読者で、折り込み等も見ていたつもりですが、
この「エクスキューシュナー」は覆面剥ぎの裏面またはその他の募集発表でも見た記憶がありません。
本当にビックリしました。
Haseo」
とのことです。私個人としましてもエクスキューシュナーのデザインは読者応募超人にしては
特徴がシンプルすぎるので多くの水増し超人のデザインの一つだと感じています・・・。
それにしてもタキングって(笑)。見たいなあ(笑)。

補足:ご承知のようにいまやタキングが「見たい」から「欲しい」に変わっています(笑)。


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